結婚してみませんか?
「怖かったんだ。恋ちゃんの口から真実を聞くのが…。バカだ俺。もっと恋ちゃんを信じて話をすれば良かった。」

智章さんの握りしめた手に力が入り、その顔からは涙が流れている。

私はゆっくりベッドから起き上がり、智章さんをそっと抱きしめた。

「恋ちゃん…!?」

「ごめんなさい。私、差し出すハンカチを持ってなくて…。」

「はは。恋ちゃん男前だな。」

ようやく笑った智章さんを見れた。私はそれが嬉しかった。

「ありがとう、恋ちゃん。でもちゃんと寝てないと。」

智章さんを抱きしめていた手を離し、私はベッドに横になる。

「まだ…ここにいてくれますか?」

「いるよ。」

その言葉を聞くと安心したのか、私はそのまま寝てしまった。

「恋ちゃん寝たの?」

私が寝てしばらくすると、笹倉さんが病室へ戻ってきた。

「はい。」

「顔色も少し戻ったみたいだな。じゃあ俺は会社に戻るから、後はよろしく。」

「あの、笹倉さん。」

智章さんは勢いよく立ち上がって笹倉さんの方を見る。

「何?」

「えっと…なんか色々すみませんでした。」

「謝るなら俺より編集長にしな。出張から戻ってきたらかなり絞られるぞ。」

「うげっ…覚悟しときます。」

「…俺は相沢君にはチャラいイメージしかなかったけど、意外と一途な奴だったんだな。」

「いや元からチャラくないし…。」

「そうだ、編集長から伝言。今日は有給にしとくからこのまま直帰しなさい、との事です。じゃあ後はよろしく。」

そう言うと私が寝ているうちに笹倉さんは会社に戻っていった。

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