結婚してみませんか?
部屋につき、私は眼鏡を外し鞄を置くと軽く深呼吸をした。

「疲れた?」

その様子を見て智章さんが声をかけてきた。

「いえ、大丈夫です。」

「無理はダメだって。少し横になりな。」

「じゃあ、少しだけ。」

私は自分の部屋に向かうため、クルッと後ろを向く。すると、後ろからフワッと智章さんが抱きしめてきた。

「ごめん、恋ちゃん。やっぱり少しだけ話を聞いて?」

智章さんは耳元で囁くように話しかける。抱きしめられた智章さんの手に私はそっと手を置いた。

「はい。」

「俺…恋ちゃんが好きなんだ。」

好き…智章さんは確かにそう言った。その言葉が嬉しくて、私は肩を震わせながら泣いてしまった。

「恋ちゃん…泣いてる?」

後ろから抱きしめていたを離し、智章さんは私の前に来た。

「ごめんなさい、嬉しくて…。初めて智章さんに好きって言われました。」

私は涙を流しながら笑顔を見せる。

「すっげぇ好き。」

私の目をジッと見つめながらそう言うと、智章さんは一回キスをして私の顔を自分の胸元に(うず)めた。

「俺も差し出すハンカチないから…。」

「ふふ、ありがとうございます。」

しばらく智章さんの胸を借りて涙を流した。そして、また智章さんは話し始めた。

「恋ちゃんを好きになって初めて気づいたんだ。俺、恋ちゃんが苦手な面倒な男だったよ。距離を置きたくない…ずっと一緒に居たい…そんな事を思うようになった。」

「それは面倒くさいですね。でも…私も同じ気持ちです。ずっと智章さんの側に居たいです。」

「恋ちゃん…。」

そして私達はまたキスをした。

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