結婚してみませんか?
「まぁ恋ってば、素敵に仕上がったわね。私にそっくりよ。」

「本当、凄く綺麗だね。」

「お母さん笹倉さん、ありがとう。」

ドレスアップした母もとても綺麗だ。今日はニコニコしていて嬉しそうにしている。

「相沢…いや息子に苗字は変か。智章、恋を幸せにする自信は?」

「1000%。」

智章さんは母の質問に自信満々に答える。

「ならよろしい。恋を…よろしくね。」

「はい。」

母はニコッと微笑むとクルッと後ろを向き部屋を出た。

「相沢君、恋ちゃん、結婚おめでとう。」

笹倉さんも祝福してくれた。

「笹倉さんも…上手く恋が実るといいですね。」

「はは、ありがとう。まぁ手強い相手だけどね。」

そう言って視線をドアの方に向ける。その様子を見ていた智章さんが突然『あっ!』と声を上げた。

「まさか、笹倉さんの想い人って…編集長!?」

「さぁね。」

笹倉さんは智章さんを見てフッと笑う。そしてそのまま話しかけた。

「相沢君いつも敬語だけど、俺…相沢君と同じ28歳なの知ってる?」

「は?まさかの同じ歳(タメ)!?嘘だろ。どう見ても年上の貫禄あるじゃん。」

「それ、どういう意味?老けてるって事?それとも喜ぶべきところかな?」

笹倉さんはジトーッと智章さんを睨んでいる。智章さんは笑って誤魔化していた。

確かに智章さん、いつも笹倉さんに敬語使ってるなと思ってたけど、笹倉さんを年上だと思ってたんだ。

「今度、サシで飲もうぜ、悠人。」

「そんないきなり態度を変えられると、調子が狂うんだけど。まぁ楽しみにしとくよ。じゃあ良い式になりますように。」

笹倉さんも部屋から出て行った。

「そういえば…俺に一途とか言ってたけど、お前の方が一途じゃねぇか。」

出て行った笹倉さんの方を見ながら、智章さんは呟いていた。
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