結婚してみませんか?
「恋ちゃん彼氏いないの?」

店に入ってからだいぶ時間が経ち、もう何杯飲んだのか分からないが、お互いだいぶ酔いがまわってきた。とは言え、まだまだ理性は保ててる。

「彼氏がいたら誘いに乗りませんけど…。相沢さんこそ、彼女いるのに他の女性と飲んでていいんですか?」

「俺、彼女いる前提なの?っていうか、彼女いそうに見える?」

酔っていても爽やかな顔で笑いながら、相沢さんは私に話しかける。

「えぇ、彼女いそうに見えますけど。だから以前、詩織をお持ち帰りしなかったのでは?」

「あはは、俺も彼女いたら恋ちゃん誘わないよ。詩織さんの時は…まぁ面倒だったからかな。持ち帰りしたらやる事はひとつじゃん?その後、酔いが覚めてこんなつもりはなかった〜…とか泣かれても嫌だし。だからお酒の後の持ち帰りはしない事にしてる。」

面倒な事が嫌い…。私と同じだな。

「そろそろ店出ようか。」

相沢さんは精算伝票を手に持ち、支払いを済ませた。そして2人で店を出る。

「あの、これ私の分です。」

そう言って支払いの半分の金額を相沢さんに渡す。

「いいよ。誘ったのは俺だし、奢るよ。」

「ダメです。受け取って下さい。」

私は彼女でもないのに奢って貰うのが嫌だったので相沢さんの手を取り、無理やりお金を渡した。

「じゃあ、このお金は受け取るからもう一軒付き合ってよ。」

そう言うと、私の返事を待つ事なくお金を受け取った。

まぁ警戒した方がいいのだろうけど、お酒の後の持ち帰りはしないって言ってたし、そもそも下心があるならば私みたいな地味子は誘わないだろう。

少し考えて二軒目にも付き合う事にした。

しかし、こうやって並んで歩いているとよく分かる。明らかに不釣り合いな2人だなぁ。相沢さんは何で私を誘ったのだろう?彼なら幾らでも誘いに乗る女性がいるだろうに…。
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