揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
Case1 俳優〈相模原 駿〉



俺の名前は相模原 駿(サガミハラシュン)、21歳。
学生時代にスカウトされて今の事務所に入った。
メンズ雑誌のモデルのかたわら最近俳優デビューしたばかりの新人だ。




「写真集…ですか!?はい、めちゃくちゃ嬉しいです!頑張ります!」




デビュー2年目にして初の写真集。
そりゃ肩に力は入るし、絶対成功させたいって思ってたけど。



打ち合わせの席でやって来た担当カメラマンの彼女。
肩まで伸びた髪は緩くウェーブがかかってる。
Tシャツにデニムパンツというラフな格好だから逆に目立ってる。



丸い縁のメガネ。
眼力ハンパなくて一瞬固まってしまったけど「Reiです」と柔らかく笑ってくれたからひとまず安心出来た。



こちら側の希望や条件を説明する。
少しベールを脱いだような、新たな発見を見出して欲しいなんて無理難題過ぎないか?
ファースト写真集のタイトルが「情熱」なだけに何とも言えないが。



無理を承知でお願いしたのにあっさり二つ返事でOKが出た。



「あ、ラブシーンて撮ったことあります?」



「あ……えっと、キスシーンなら何度か」




「脱ぐ系OK?」




「えっ!?」




「割れた腹筋とか…ファンは喜ぶんじゃないかと」




「は……はぁ」




隣に居たマネージャーが「当日までに仕上げておくのでそれで宜しくお願いします」と口を挟んできた。




「じゃあコンセプト等決まりましたらまた連絡致します」




とびきりのスマイルで打ち合わせは終了した。
仕上げるってオイ……
部屋を出ると同じフロアの別の部屋に入って行く彼女の姿が。



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