揺れる被写体〜もっと強く愛して〜





「マジか」と腕組みしてる。
分かってます、百も承知です。
撮られるのは好きじゃないってことくらい。
理由も知ってます。
でもその垣根を越えて…撮りたい。
カメラマンReiにピントを合わせたい。




「色んな表情を撮ってみたい。出来れば喜怒哀楽全部……カメラマンとしての姿も、女としての姿も。私の知ってるレイさんの全てを作品として残したい…」




真っすぐ見据えたら「良い瞳してる…」と微笑んでくれた。




「別に良いけどさ〜」




「えっ?本当に良いんですか!?」




「私のこのムラムラした欲情はどうしてくれんの?」




「へ……!?」




「襲える日も近いかと思って色々勉強してきたのにな〜女同士のアレやコレ?」




「もう…!レイさん…!何考えてるんですか…!」




「えー、女の子とするのも悪くないかなって思って〜」ってどんだけ性欲あるんですか…!
確かに綺麗過ぎるレイさんに一瞬クラッとはくるけど私だってHは男性としたいですよ…!




「じゃあ、条件がある」って言われドキッとした。
ニヤリとしてんだもん。
例えどんな厳しい条件だとしても
今なら呑む覚悟は出来ていた。
それでレイさんを撮れるなら。
その代わり、好きなだけ撮らしてもらえるなら何だって呑みますよ。




レイさんの口から出た条件に思わず泣いてしまった。
優しく髪を撫でられ頷いてくれる。




温泉からあがり、帰り支度をしながら「やっぱキスだめ?」とかおねだりやめてください。
こっちも変なスイッチ入らないよう必死なんですから。
引いた一線越えて来られるともうアウトだ。




歯止め効かなくなってきっと私からも襲ってしまう。
ブレーキかけたんだから。
これ以上アクセル踏ませないで。
欲しくて欲しくて堪らない感じのいやらしい瞳で撮りたいから。




危うく自分を見失うとこだった。







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