揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「美麗……」
ほんの少しでも時間が空けば私の元へ駆けつけてくれる駿くん。
限られた時間だけど求め合うために密かに逢瀬を繰り返す。
それがまた2人の気持ちをより高揚させていた。
ひと目をはばからい出来るだけ隠れて逢う。
逢えばもう許してしまってる。
あの瞳が私を剥いでいく。
いつの日か、千ちゃんに手伝ってもらって衣装を掛けたまま持ち運べる折りたたみ式クローゼットの中に入ってもらって自宅に招き入れたことがある。
本宅に入れたのは駿くんが初めてだった。
それくらいのぼせてたのかな……
引き忘れた一線に後から後悔したって手遅れなのに……
突然襲いかかる現実とのギャップに苛まされるのは私の方なんだ……