揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
お願いだから、上手くはぐらかさないで……
真剣に向き合ってほしい……
被写体としてじゃなく、一人の男として。
「迷惑…じゃないよ?いや、むしろ嬉しい。ううん、かなり嬉しいよ」
放つ言葉全てに気持ち持ってかれる。
きっと何言われたって冷めないんだ。
この温もりを感じている限り、俺はあなたが欲しくてたまらなくなる。
「でもね、私は誰とも付き合わないの」
「え…!?」
「こんな職業じゃん?あちこち飛び回るし彼氏が居たとしても構ってあげれないし、段々会えなくなってフラれるのがオチなんだよね」
そ、そんな明るく言われても……
「それにキミも忙しくなる身だよ?あ、それにカメラマンとしてフライデーされるとか有り得ないから。ていうか撮ったヤツは潰す…」
キャラ変わってる……!
撮られるの相当嫌なんだな。
まぁ、カメラマンとしてのプライドだよね。
でも………だとしても………
「俺の気持ちは変わりません。お互い忙しくなっても…合間見つけて会いに行く。例えそれが5分でも……3分でも1分でも…!レイさんに逢えるなら俺はどこにだって行くよ…!」
あ、ヤベ。
熱くなっちまった。
圧倒されちゃってる。
「あ…ごめん」
揺らしてしまった肩についた手を下ろした。
「じゃあ、フラットな関係でいようよ」
俺を見上げる真っすぐな瞳が何を意味してるのかすぐにはわからなかった。
「え……?」
「言ったでしょ?私、被写体ファーストだって。撮りたいモノがあれば迷わず撮りに行く。例えそれがキミの知っている誰かだとしてもね」