揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
また近付いたら受け入れてくれる柔らかな唇。
触れた時点でもうヤバイ………
一瞬で体が熱くなる。
ずっとくっついてたい。
あ………肩を押され彼女から唇を離してきた。
またこれ以上はおあずけ……か。
スクリーンに照らされた顔。
真っすぐ俺を見てくれてる。
どんなシチュエーションでも綺麗過ぎる顔立ち。
「駿くんのキス魔……」
照れながら言わないでよ。
無理やりにでも奪いたくなる。
「ダメ…?」
「そういうキスはダメ」
「どんなキスならいいの?」
挑発されて挑発し返す。
彼女の手が伸びたらもう魔法にかかってる。
「こっちのキスが良い」と頬に手を添えてキスのお返しがきた。
早速ゾンビが出て来て迫力あるシーンが続いているのに。
俺は彼女のキスに酔いしれて舌を絡ませていた。
よって、前半はよく見れなかった。
誰かの悲鳴で思わず苦笑いして「せっかく来たんだしちゃんと観よう」と素直に従った。
ごめん、会えただけで嬉しいのにやっぱり触れたくなって……つい。
エンドロールの前に2人は出る。
彼女はアシスタントの子たちと合流し、俺も友達の劇団員を連れて皆でご飯を食べた。
これなら万が一撮られたとしても言い訳が効く…と教えられた。
友達はアシスタントの子たちと意気投合してて楽しそう。
俺たちも笑いながら見てる。
そのテーブルの下で絡み合う指。
「もう少し待てないの?」と小声で言われたけど……待てない。
「気付かれちゃうから…」と何度か逃げられ拗ねたら携帯いじり出しちゃうし……
すぐに自分の携帯が鳴って見てみたら(抜けちゃう?)って彼女から。
ニヤリ。