揺れる被写体〜もっと強く愛して〜



「持ってるよ〜えっと、美容師とビューティーアドバイザー」




「すげぇ…」




「だからヘアメイクとかも出来ちゃうよ?」




「え〜いいなぁ!うわ、レイさんを専属にしたい。そしたらもっと長く一緒に居れるのに」




「アハハ、ごめんね〜?今はカメラ一本なんだ」




「ちぇっ…」




「ほら動かないで?もう少しで終わるから」




「うん……」



本当はまだ終わってほしくないな。
レイさんの手が俺に触れてるから。
目は閉じてるけどわかる……
レイさんの視線……息づかい……
少しずつ距離が縮まってること。




「はい、出来上がり」と鏡を見せてくれた。
本当だ、元の顔に戻ってる。
保湿成分も入ってたのかツルツル肌だ。




「ありがとう」




ジッと目を見ていたらソファーの背もたれに肘付いて頬づえしながら「どうした?」って色っぽい。
足元の間接照明が優しく2人を照らしてる。




「本当に……専属になってくれたらいいのになって」




もっとずっと一緒に居たい。
大きな撮影が入れば長く一緒に居れるけど。
指名してもレイさんのスケジュール押さえるのは難しいってマネージャーも言ってた。




「仕事としては難しいかもだけど、プライベートならいつでもしてあげるよ?本当、オフの日ならね」




「本当に!?やった!」




「あ、ドラマとか入ってたらダメだよ?」




「うんうん、やったー!」




柔らかな笑み。
レイさんが俺の為だけにしてくれるとかそれ以上の喜びはない。
スッと体が近付いてきて俺の心臓は飛び跳ねる。




「あ……まだマスカラついてる。目閉じて…?」




「え……はい」






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