揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
頬に触れてる指の感覚。
目を閉じたらそこだけに意識が集中しちゃうよ。
コットンを取る雰囲気。
更に近付く体。
え……なに?
顎を少し上げられて………
頬を包まれた。
レイ……さん……!?
そのまま重なった唇は優しく侵略していく。
腰に手を回してグッと引き寄せた。
このシチュエーションはヤバい。
こんなにレイさんを感じたら止まらなくなるのに。
徐々に激しくなって首筋に唇が這う。
「レイさん……もう、止めるの無理だよ?」
全部欲しい………
このまま奪いたい………
いい………?
その場でブラウスを脱ぎ、キャミソール姿になったレイさんは「止まらなくしてみたんだけど?」と挑発の眼差し。
もう無理だ……止まらない。
一枚一枚剥がし合って温もりに埋もれてく。
まだまだ俺は……この瞳だけで殺られてしまう。
色っぽくて……時に強かで……全てを支配する。
完全に溺れてるな、今………
「駿くん……やっぱ良い瞳してる……好きだな」
もしかしてまた撮りたくなってる?
すかさずキスで阻止する。
「今は撮るの我慢して……」
そっちこそたまらない顔してるよ……
全部持ってかれてる。
「わかってるよ……」
お願い……最後までいかせて……
「ごめんね……駿くんの顔、つい見惚れちゃうから」
そんなの……俺も同じ。
最初からずっと見惚れてるよ。
この眼差しに溺れてるんだ。
カメラを通してでも……今でも。
「……満足した?もういい?」
「まだ……もうちょっと…」
「えぇ……?俺、そろそろ限界」
上に乗ってる時点でもうヤバい……
だから焦らさないで……
「待って……駿くんを上書き保存してるから」
「え……?」
「また撮りたいな……」
「今は被写体じゃないでしょ」
クスクス笑いながら体を起こす彼女は簡単に俺を押し倒して逆の立場になる。
「ごめん……あまりにも綺麗だからやっぱ上になりたい」
こんなセリフ……レイさんだから言えるようなもので。
何のいやらしさもなくサラッと言えるあたり格好良くも見える。
ソファーのきしむ音さえ心地良く、胸の中にレイさんが広がった。
幸せな夜だった。
綺麗な体に溺れ、熱い体温を重ね合わせたこの日を忘れない。