揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
Case2 ロックバンド〈GLEAMS〉
俺の名前は堤 優吾(ツツミユウゴ)、27歳。
「GLEAMSさん、スタンバイ入られまーす!」
今じゃ俺たちを知らない者はいないんじゃないかな。
出す曲全てオリコンチャート初登場1位は確実だし、ライブチケットは即完売、武道館やドームツアーでは動員数なんて右肩上がりだし?
きっと俺たちは将来、語り継がれる伝説の4人組ロックバンドとなる。
ボーカルとして気をつけていること?
そんなの魂込めて歌いやいいんだよ!
俺が歌い出せば皆振り向くから。
声には自信あるんだ。
「今度のツアーでライブを中心とした写真集出そうかと思うんだけど」
マネージャーが言った一言に「いいね」と即決した。
でも大丈夫かよ、気に入らない撮り方したら遠慮なくクビにしてきた俺らだぜ?
今まで何人カメラマン替えてきたか。
そんなことを重々承知してきたマネージャーが連れてきたのは、まだ若い女だった。
リラックスして待ってた俺の目に映った瞬間、何もかも持ってかれた気がする。
他のメンバーも
「お、可愛い」
「女の子だ〜」
「ヤバくね?」
とか隣で言ってるけど、
俺が一番ヤバかったかも知れねぇ。
「こちらが今回、ツアー写真集を担当してくれるカメラマンのReiさんだ」
「Reiです、宜しくお願いします」
レイ………?
まだ髪の長かったお前は耳にかける仕草や、瞬き、艷やかな唇、声……全てが俺のドンピシャだった。
どっかから連れてきたモデルじゃねぇの?と疑っちまうほど。