揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
「ごめん、本当時間ないんだ……」
後ろから顎クイしてキスをする。
ニッコリ微笑んでお見送り。
「待ってるね」と言ったら恥ずかしそうにはにかんだ。
バイバイと出て行く。
微かにレイの香りがする部屋。
居心地が良い。
ソファーにゴロリ。
さっきの唇の感触………
すごく色っぽかった。
レイは………恋人とか居ないのかな。
もし居たら、僕とキスなんかしないよね?
居なかったら……入り込む隙はある?
あの慣れた感じ………
何しても動じない感じ………
きっと今までに何人とも………
いや、考えるのはよそう。
27歳だったらそれなりにあるのが普通だもん。
そんなことより、どうしたら手に入るのか考えよう………
えっと………えっと………
えっと…………
誰かが僕を呼ぶ声………
フワフワしてよく分からない……
でも……いい匂い……
この匂い……知ってる……
僕の一番好きな匂い……………
「起きないとキスしちゃうぞ…?」
耳元ではっきりそう聞こえた僕はうっすら目を開けてしまう。
ぼやけた視界の中でぼんやりとレイが見えた気がした。
もう一度目を閉じる。
「おーい……ジヒョン?起きて?」
ヤダ。
いつの間にか寝てたんだ、僕。
レイに起こされるとか幸せ過ぎてヤバい。
クスクス笑われてるのも心地良い。
ほっぺをプニッと摘まれるのもツンツンされるのも全部意識あるけど、意地でも起きてやんない。
こんなのずっと続いてほしいもん。
スーッと眠気が度々襲うのに起こされたい願望。
ねぇ……ジヒョンって甘い声。
ヤバい……ヤバ過ぎるぞコレは。
お願い、キスで起こして……!!