揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
真っすぐな視線に耐えれなくて逸した。
なのにいとも簡単に顔を向けさせられて……
「あのまま別れたってどうせ忘れられないくせに……こんなことで落ちぶれたら、もう撮ってあげないよ…?」
「えっ……」
「オファー来ても断るからね?写真集だって撮ってあげない…」
「ヤダ……絶対ヤダ…!」
必死になって懇願する。
格好悪いくらいすがりつく僕を華奢な体が抱き寄せる。
「分かってる……だから這い上がってきて…」
顔を上げて見つめ合う。
「僕、明日の便で帰るんだ……でも帰りたくない……」
「帰らなきゃ」
「もっとレイと一緒に居たい…離れたくない…」
「じゃあ……今夜は一緒にいよっか」
「本当に…?レイのこと……めちゃくちゃにしちゃうかもだよ…?」
そう言うとレイは声を出して笑った。
再び髪を撫でられながら……
「正直者だね……ジヒョンは。初めてだよ、こんな聞き分けのない子……どストレートな子」
「レイだけにだよ……レイが欲しいから」
まだ話してるのに両手で目隠しされる。
「今はその瞳、封印しようか……」
「どうして…?レイだから自然にこうなっちゃうんだよ」
「許してしまいそうになる……」
思わず手を解いた。
視線を合わせず頬を赤らめるレイが綺麗で……可愛くて……完全に理性が飛ぶ。
「あんま見ないで…」と目を逸らすけど、もう無理だから。
そのままソファーに押し倒し唇を重ねた。
今夜は一人にしないで………
僕を愛して………
「大好きだよ……レイ」
優しく微笑んで求めてくれた。
この僕を、受け入れてくれた。
僕たち……やっとひとつになれたんだ。
柔らかな体に顔をうずめる。
最高潮に幸せな瞬間。
限られた時間、許される限り
愛し合ったんだ。
一緒にお風呂に入って……
お酒を飲んで……
じゃれ合って……また愛し合う……
それでも幸せな時間は儚く脆い………