揺れる被写体〜もっと強く愛して〜
Case5 番外編〈アシスタント/横田 楓〉
私の名前は横田 楓(ヨコタカエデ)、
23歳。
カメラマン Reiさんのアシスタントをしながら日々勉強する毎日です。
レイさんと初めて出逢ったのは専門学校を卒業した20歳の頃。
まさかあのレイさんのアシスタントにつけるなんて思ってなくて、しかも当時は一切顔出しされてなかったから見た瞬間ひっくり返ったのを覚えてる。
美人過ぎて、スタイル良すぎて、
想像よりはるかに若かった。
4つしか違わないなんて……
神は二物も三物も与えてしまわれたのね…と諦めるしかないほど。
イタリアから帰国直後だったのにも関わらず、数々の賞を総ナメにし、まさに這い上がってきた人。
もう尊敬の眼差ししかありません…!
思いきり技術盗んでやる…!と俄然やる気が漲っていたのに、いざアシスタントについてみると毎日毎日目まぐるしく、というより段取りが早い。
次々とこなしていくから重い機材を運んでカメリハしてセット…ってこれだけの仕事で精一杯。
カメラを勉強するどころか、少々鈍くさい私は怒られてばっかで嫌になる。
実はレイさん、怒ると怖いんだよ?
「違う、前にも言ったじゃん」って声が怖い。
最初の頃はよく泣いたな……
でもね、後のフォローが優しいの。
「ごめんね、カメラのことになると熱くなっちゃって…」って真っ赤になってる。
頭ポンポンされてニッコリ微笑まれたら女でも落ちる……
また次も頑張ろうって勇気が湧いてくる。
そんなレイさんについてから3年という月日が流れた。
今では素早い段取りもこなせるようになったし、後輩の育成にも力を入れてる。
レイさん本人からは「右腕」とも認めてもらいました。