想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
「あの、どこへ行かれるんですか?」
「この近くに、僕がときどき行くバーがあるんだ」
意外にソフトな声が鼓膜を揺らす。
「今夜のきみを、そこに連れて行きたい」
今夜のわたしを、どうして———答えのような謎かけのような彼の言葉とともに、佐倉圭介がどんなバーで飲むんだろうという好奇心が、頭をもたげてきてしまった。
思えば散々な1日だった。こうなったら行くところまで行ってみようか。
半分はヤケだった。
さっきの中華料理店ではお酒を飲まなかったけど、今夜はアルコールの力でも借りないと寝つけそうもない。
彼が足を止めたのは、一見ごく普通のビルだった。表に看板も見当たらない。
「二階にある」
佐倉さんを先に、階段で上がる。
扉を開けると、思いがけず奥行きのある空間が広がっていた。見事な一枚板のカウンターが目を引く。
流れている音楽は、クラシックだ。
「この近くに、僕がときどき行くバーがあるんだ」
意外にソフトな声が鼓膜を揺らす。
「今夜のきみを、そこに連れて行きたい」
今夜のわたしを、どうして———答えのような謎かけのような彼の言葉とともに、佐倉圭介がどんなバーで飲むんだろうという好奇心が、頭をもたげてきてしまった。
思えば散々な1日だった。こうなったら行くところまで行ってみようか。
半分はヤケだった。
さっきの中華料理店ではお酒を飲まなかったけど、今夜はアルコールの力でも借りないと寝つけそうもない。
彼が足を止めたのは、一見ごく普通のビルだった。表に看板も見当たらない。
「二階にある」
佐倉さんを先に、階段で上がる。
扉を開けると、思いがけず奥行きのある空間が広がっていた。見事な一枚板のカウンターが目を引く。
流れている音楽は、クラシックだ。