想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
見せたいものがあるんだ、と寝室に姿を消した佐倉さんが、ほどなくなにかを手にして戻ってきた。
テーブルに置かれたのは、ブルーグリーンの布で装丁された厚手の本だった。
「メモリアルブックなんだ」
椅子をわたしのそばに引き寄せて、佐倉さんが表紙をめくってみせる。
無地の白いページに貼られていたのは、キッチンで料理をするわたしの写真だ。いつだったか彼が撮った一枚だ。
佐倉さんの字で『キッチンにて。料理中の美織。真剣だけど、楽しそうな横顔』とメモが添えられている。
「この中にふたりで思い出を重ねていきたいと思って」
次のページをめくる。
シンプルなリングのラフ画だ。
「初めて指輪をデザインしたいと思ったんだ。贈りたい女性もデザイナーだから、意見をききたいんだけど。どんな指輪が好みかな」
圭介さんが贈ってくれるならどんなものでも———そう答えるより先に、涙があふれ出してしまう。
しゃくりあげるわたしの肩を、彼がやさしく抱き寄せる。
「おかえり、美織」
ただいまと伝えるかわりに、わたしは彼の胸にしがみついて顔をよせた。
テーブルに置かれたのは、ブルーグリーンの布で装丁された厚手の本だった。
「メモリアルブックなんだ」
椅子をわたしのそばに引き寄せて、佐倉さんが表紙をめくってみせる。
無地の白いページに貼られていたのは、キッチンで料理をするわたしの写真だ。いつだったか彼が撮った一枚だ。
佐倉さんの字で『キッチンにて。料理中の美織。真剣だけど、楽しそうな横顔』とメモが添えられている。
「この中にふたりで思い出を重ねていきたいと思って」
次のページをめくる。
シンプルなリングのラフ画だ。
「初めて指輪をデザインしたいと思ったんだ。贈りたい女性もデザイナーだから、意見をききたいんだけど。どんな指輪が好みかな」
圭介さんが贈ってくれるならどんなものでも———そう答えるより先に、涙があふれ出してしまう。
しゃくりあげるわたしの肩を、彼がやさしく抱き寄せる。
「おかえり、美織」
ただいまと伝えるかわりに、わたしは彼の胸にしがみついて顔をよせた。