想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
「今まで自薦他薦ふくめて、アシスタント候補は何人もいたんですけど。なかなか佐倉さんのお眼鏡に叶わなくて」

そのときの直斗さんの目の動きは、熟練の釣り人を思わせた。
あえて水面に小さなものを投げこんで、さざ波を起こす。その反応を読んで、狙ったものを釣りあげようとする。

探られてる。あまりいい気はしなかった。

「だから栗原さんには期待してます」
何食わぬ顔で、彼が言葉を続ける。

「一生懸命がんばりますので、よろしくお願いします」
表情がこわばっていないことを願いながら、そう答えた。
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