想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory


異動して十日ほどたった木曜日の夜が初めての食事って、どうとらえればいいんだろう。
わたしの恋愛偏差値じゃ、どれだけ考えても答は出ない。いや、意味なんて考えてもしょうがないのかも。

佐倉さんのスケジュール管理にも少し携わるようになったから、分かること。夜もたびたび打ち合わせや会食の予定が入っているし、たいてい遅くまで会社で仕事をしている。
そんななかで、わたしのために時間を空けてくれるだけで、特別なことに感じられた。

どんなに忙しくても、遅い時間になっても、佐倉さんは必ずわたしのメッセージに返信をくれる。
『今日もお疲れさまです。明日のコンペ、うまくいくように応援してます』
『ありがとう、絶対受注するから』

彼に負担をかけたくないから、なるべく短いメッセージを心がけるようになった。
彼の近くで働いて、デザイナー佐倉圭介の仕事への姿勢を目の当たりにすればするほど、中途半端な気持ちではそばにいられない、と強く思うようになった。

実のところ、わたしは少し怖気づいていた。
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