想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
もしデザインの神がいるのなら、佐倉さんは愛し愛された存在なのだろう。

「栗原さん、出身はどこだっけ」
仕事以外のことと思ったのか、佐倉さんが話題を変える。

「静岡です」と答える。
「大学で東京に出てきたんです。そういえば、うち父は普通のサラリーマンなんですけど、祖父は小さな家具工房を営んでいたんです。子どもの頃、祖父の手作りの積み木とかドールハウスで遊んだり、工房をのぞいたりしてました」

「栗原さんの原点なんだな」

「そうかもしれません。あの、佐倉さん、」と切り出した。

彼がまなざしでうながしてくる。

「わたしも、デザインラボで資格や語学のコースを受講することはできるんでしょうか?」

「なんでそんなことを。直斗に影響されたのか?」

お見通しか。こくりとうなずく。
「今インテリアコーディネーターの資格しか持っていないので。佐倉さんのチームで働くからには、もっと上を目指したいと思って」
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