想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
あごの線がシャープな佐倉さんは、横顔ももちろん素敵だ。今日は、ブロードシャツに軽い素材のジャケットをはおっている。いつもよりラフにセットされた髪型も、いかにも休日の顔といった雰囲気だ。

わたしは薄手のニットに膝下丈のフレアスカートを合わせた格好だ。どうか彼と釣り合ったカップルに見えるように願いながら。

「佐倉さんは、なにか趣味とかあるんですか」
まだ圭介さんと呼べないわたしだ。

「基本24時間デザインな仕事人間だけど、強いていえば写真かな」佐倉さんが首をひねって口にする。

どこまでもアーティスティックなひとだ。

「デジカメじゃなくて一眼レフのフィルムカメラで撮ってる。加工ができない、ごまかしが効かないところがいい」

「そういえばそうですね」

「フィルムカメラが写し出す空気感とか、ざらっとした粒子の感じ、懐かしい雰囲気までふくめて好きなんだ。腕前はアマチュアだけど、美しいと感じたものとか、感性に引っかかった瞬間を写真で切り取るのが楽しいんだ」

いつかわたしも佐倉さんに撮ってもらえるかな、なんて思ってしまう。
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