想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
第4章/深碧 —shin peki—


「貴殿のデザインにおける、視覚が享受する歓びと機能性の幸福なmariage(結婚)をぜひとも我が社で———か、フランス人らしいしゃれた文句だな」

フランスから届いた一通のメールを、佐倉さんと直斗さんが読んでいる。さらっと訳しているけど、ふたりとも何ヶ国語できるんだろう。
エル・コニール社というフランスの老舗家具メーカーから、佐倉さんに家具のデザインの依頼があった。

「ヨーロッパで名の通った一流メーカーです。ビッグプロジェクトですね」
ふたりの興奮が伝わってくる。

席に戻ってきた直斗さんに「家具のデザインって他にも手がけてましたよね」と聞いてしまった。

「あれはオランダのクリエイター集団、Shacksとのコラボレーションワークだから。
名の通ったメーカーから個人にデザインの依頼が来るって、すごく名誉なことなんですよ。佐倉圭介の作品として世にでるわけだから」

しかも注文はつけず、すべて佐倉さんにまかせるので自由にデザインをしてほしいという、破格ともいえるオファーだという。
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