想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
「わたし佐倉さんのことしか考えられないのに」
とふくれてみせる。

「うーん、美織の恋路に水をさすわけじゃないんだけど…」絵里子は神妙な表情だ。「佐倉さんのそばにいると、つらくなったりしない?」

「つらく…なる」
なにかを言い当てられた心地になる。

「美しいものをデザインするために生まれてきたような、特別な才能をもったひとなんだよね。そのひとを愛して、そばにいて…彼にとっての自分の存在とか、自分がなにができるのかとか、考えちゃいそうで」

「うん…」思わずうつむいてしまう。その通りだから。
「自分がちっぽけに感じられるの。わたしになにができるんだろうって」

絵里子になら素直に不安を吐き出すことができた。

「本当に好きだからこそ悩むよね」
絵里子はぽつりとつぶやいた。
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