想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
第5章/紅碧 —beni midori—
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佐倉さんはわたしの上司で、彼との恋愛はどうしても仕事と切り離せない。同じチームで働いているのだから。
「厳しいな」
佐倉さんのそのひと言に、チームの空気が重くなる。
エル・コニール社から「不採用」のメールがあったという。実際には「もっといいアイディアはないのかい?」という言い回しだったそうだけど。
佐倉さんが提案したのは、ループチェアと名付けた椅子だった。らせん状の脚が目を引くスタイリッシュな作品だ。アイディアの斬新さと洗練されたデザインは評価されたものの、購買層がかぎられるというのが先方の結論だったようだ。
「素晴らしいデザインだと思うんですけど、どこがダメなんでしょう…」
そんなことを佐倉さん本人に言えるわけもなく、つい隣にいる直斗さんにもらしてしまうのだ。
「ループチェアの試作品に座ったんですけど、ちょっと不安定感があったんですよね」
「不安定感…」
「それが面白みでもあると思います。たとえばアンティークの三本脚の椅子とか、非常に人気がありますから。そうはいっても飛びつくのは趣味人、愛好家が多いでしょう。先方の要望に、あと一歩及ばなかったということじゃないかと」
直斗さんの表情も険しい。
佐倉さんはわたしの上司で、彼との恋愛はどうしても仕事と切り離せない。同じチームで働いているのだから。
「厳しいな」
佐倉さんのそのひと言に、チームの空気が重くなる。
エル・コニール社から「不採用」のメールがあったという。実際には「もっといいアイディアはないのかい?」という言い回しだったそうだけど。
佐倉さんが提案したのは、ループチェアと名付けた椅子だった。らせん状の脚が目を引くスタイリッシュな作品だ。アイディアの斬新さと洗練されたデザインは評価されたものの、購買層がかぎられるというのが先方の結論だったようだ。
「素晴らしいデザインだと思うんですけど、どこがダメなんでしょう…」
そんなことを佐倉さん本人に言えるわけもなく、つい隣にいる直斗さんにもらしてしまうのだ。
「ループチェアの試作品に座ったんですけど、ちょっと不安定感があったんですよね」
「不安定感…」
「それが面白みでもあると思います。たとえばアンティークの三本脚の椅子とか、非常に人気がありますから。そうはいっても飛びつくのは趣味人、愛好家が多いでしょう。先方の要望に、あと一歩及ばなかったということじゃないかと」
直斗さんの表情も険しい。