切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
その後、美月ちゃんがやって来てみんなで談笑し、彼女に夕飯を食べさせたら、涼華さんが目を細めて俺を見た。
「あんた、餌付けしてない?」
「心外だな。ただうちの子にご飯食べさせてるだけだよ」
涼華さんの顔を見て何食わぬ顔で答えれば、彼女は不審顔になる。
「うちの子ねえ。まあ、玲司のとこにいるなら、美月ちゃんも安全ね。いい美月ちゃん、お母さんが連絡してきても会っちゃだめよ」
涼華さんが美月ちゃんに目を向ければ、美月ちゃんの顔は強張った。
「はい。気をつけます」
笑顔で涼華さんにそう返答するが、その瞳は陰っていて……。
これは何かあったな。
それから閉店時間まで涼華さんはいて、戸締まりをして涼華さん姉弟と別れると、俺の車に美月ちゃんを乗せて家に帰る。
「晴人のスポーツカーとこの車と、どっちが好き?」と車の話を振れば、彼女ははにかみながら答えた。
< 112 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop