切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「うーん、晴人さんのスポーツカーもカッコいいですけど、落ち着くのは玲司さんの車かなあ」
美月ちゃんの声と笑顔が可愛くて、こちらも自然と笑みが溢れる。
「そっか。じゃあ、今度どっかドライブ行こうか?」
車を運転しながら美月ちゃんを誘うと、彼女は目を輝かせた。
「え? いいんですかあ?」
今まで人をドライブに誘ったことはない。
ひとりで海や山へ行くのが好きだったが、助手席に誰かがいるのもいいように思えた。
「どこ行きたい?」
美月ちゃんの希望を聞くが、彼女は急に表情を曇らせる。
この表情を見るのは今日は二回目だ。
涼華さんが美月ちゃんのお母さんのことに触れた時も、こんな顔をしていた。
「……えーと、咄嗟に浮かばなくって……考えときます」
ぎこちない笑顔で答える彼女。
なんだろう。
俺と一線引いているように感じた。
元々彼女は引っ込み思案で、物静か。あまり自己主張はしない。
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