切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
フッと笑みを零して彼女の髪をドライヤーで乾かす。
そういえば、マロンが生きていた頃、こんな風に毛を乾かしたことがあったっけ。
でも、他人の髪を乾かすのは初めてだ。
サラサラで艶があって、触っていると気持ちがいい。
五分ほどで乾かし終えると、美月は「ありがとうございます。あの……では……おやすみなさい」と一礼してゲストルームに行こうとする。
そんな彼女の腕を掴んで言った。
「待った。今日から美月は俺の寝室で寝てもらうから。一緒に寝るって決めたよね?」
悪魔な笑みを浮かべれば、美月の顔は引きつった。
「やっぱり……男の人と一緒に寝るなんて無理です〜」
「無理じゃない。昨日も一緒に寝たじゃないか」
俺がそう指摘すると、彼女は逃げ腰で言い訳する。
「それは私が眠ってて気づかなかっただけで……」
「大丈夫。何事も慣れだよ」
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