切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「祖父が俺の身を案じてノワールをくれたんだ。それに、俺がノワールを気に入ってたのもあったかもしれない」
「身を案じて?」
首を傾げる私に彼は笑って説明する。
「俺って愛人の子で、祖父は俺が金に困らないようにしたんだと思う」
愛人の子?
初めて知る彼の話に驚いて「そうなんですね」としか言えなかった。
さらっとにこやかに言ったけど、玲司さんの家族って結構複雑だったんだ。
余計なこと聞いちゃったな。
少し落ち込む私を見て彼は面白そうに突っ込んだ。
「美月が暗くなってどうする?」
「だって……」
口ごもる私に彼は穏やかな顔で笑って見せる。
「大丈夫。俺はもう気にしてないから。それに今祖父の跡継いでカフェのオーナーしてなかったら、美月にも会えなかったと思うよ」
「そんなの嫌! ……あっ」
玲司さんの発言に咄嗟に声を上げれば、彼が少し悪魔な顔でニヤリとした。
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