切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
悪魔な笑みを浮かべて指摘すれば、彼女は「あっ」と声を上げる。
「お仕置きだな」
美月を捕まえてその頬に手を添えれば、彼女の瞳は震えた。
「そんな急には直らないです……あっ、直らない。それに……なんでキスするんですか?」
キスをする理由なんていたってシンプルだ。
「美月を見ると、したくなるから」
したいと思わなければ、キスなんてしない。
「そ、そういうのは、好きな人にするべきです」
彼女はそう訴えるが、俺は真顔で告げた。
「俺は、美月のこと好きだよ」
「それは……人間としてとか……妹みたいで……といった意味ですよね?」
少し傷ついた顔で問いかける彼女。
「そういうのとは違う。特別なんだ」
はっきりと美月に伝え、少し身を屈めてその唇を奪う。
『特別』――。それは、彼女が昨夜俺に言った言葉だ。
大切で、一緒にいたいと思える存在。
その思いは日々強くなっている。
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