切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「ちょっと待ってて」
そう言って席を立ち、店を出て近くのコンビニのATMでお金をおろす。
すぐカフェに戻ると母にお金を渡した。
「ありがとう、美月」
母は目を輝かせて礼を言う。
ATMでおろした金額は三十万。
「もうこれ以上は無理だよ。私にだって生活があるの。もう会社に連絡してこないでね」
心を鬼にして母に釘をさす。
テーブルの上に置かれたレシートを手に取れば、母が私を見た。
「あら、コーヒー飲まずに行くの?」
母と一緒にいるのが苦痛だった。
「忙しいの。じゃあ」
素っ気なく言って、母の顔を見ずに会計に行き、支払いを済ませて会社に戻る。
胸の中はモヤモヤしていて、昼食を食べる気にならない。
自分の判断は間違っていたんじゃないだろうか?
迷わずにはいられない。
でも、また母から電話がかかってきたら総務部の人にだって迷惑がかかる。それに私も精神的に辛い。
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