切愛願望～極上御曹司の庇護欲からは逃げられない～

咄嗟に叫んで、起き上がって矢島の手を叩くが、彼に手を掴まれ、ソファに組み敷かれた。
心臓はショックでバクバク。
突然のことに頭がついていかない。
『どうしてこんなことするんですか！』
慌てふためきながらも彼を睨みつける。
『お前の母親には飽きてな。やっぱり若い方がいいからな』
ねっとりと絡み付くような嫌らしい目をしている彼を見てゴクッと固唾をのんだ。
怖かった。
このままでは矢島に乱暴される。
彼が顔を近づけてきて、恐怖を感じて思い切り蹴り上げた。
運良く矢島の股間を直撃し、彼が『うっ！』と呻いて身体を丸める。
その隙に彼から逃げて、なりふり構わずマンションを出た。
頭に浮かぶのは玲司さんの顔。
彼ならきっと私を助けてくれる。彼なら……。
走ってノアールに向かう。
息が苦しかったが、立ち止まってはいけない。矢島に捕まってしまう。
お願い。もっと速く走って。私の足！