切愛願望～極上御曹司の庇護欲からは逃げられない～

「いや、ビールは苦手だから」
すぐに反論するも、渡辺君に言い負かされた。
「それは飲み慣れてないからだ。慣れれば美味しく感じる」
彼の言葉に頭痛がしそうだった。
こういうのが嫌だから飲み会もあまり参加しなかったのに。
「すみませ～ん！」
渡辺君は店員を呼んで慣れた様子で注文する。
「よくここに来るの？」
質問すると、「ああ、よく同期の奴らとな」と彼はネクタイを緩めながら言った。
その時、渡辺君のスマホがブルブル震え、彼はその画面を見て「あっ、井澤からだ」と言って席を外す。
井澤君って営業の子だっけ。
私も玲司さんに連絡を入れておかなきゃ。
バッグからスマホを出して、彼にラインでメッセージを送る。
【玲司さん、すみません。急に同期の子と食べに行くことになって、ちょっと帰るの遅くなります。また帰る時に連絡します】
すぐに既読がついて玲司さんから返信があった。