切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
スッと目を細めて私を見る彼にビクつきながら言い訳した。
「ゴールデンウィーク明けでちょっと疲れちゃって」
「五月病とかになるなよ。お前、メンタル弱そうだからな。しっかり食え」
私のテーブルの前にシューマイやさつま揚げを並べる渡辺君。
彼なりに私のことを気遣ってくれているんだと思う。
「うん。ありがと」
彼の目を見て礼を言うと、シュウマイを口に運んだ。
そんな調子で彼が私に料理を取り分け「松本の分」と言って置いていく。
「ビールも全然飲んでないじゃないか。お前はもっと酔って自分を解放した方がいいんだよ」
クドクド言う彼に「でも、お酒あまり飲めないから
」ともう一度伝える。
「それは慣れてないからって言っただろ。飲め!」
彼の怖い眼光に負け、心の中で"玲司さん、ごめんなさい"と謝りながらビールをゴクゴクと飲む私。
これは何の拷問なのだろう。
いつになったら解放されるかな?
< 186 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop