切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
チラチラ腕時計を見ていたら、渡辺君が母のことに触れた。
「松本のお母さんから会社に何度も電話かかってくるけど、なんかあったのか?誰か入院したとか?」
ああ、話って母のことだったのか。
「ううん、そういうのじゃないから大丈夫」
すぐにそう答えるが、渡辺君はどこか不審顔。
「じゃあ、何の用でかけて来たんだ?」
「それは……近くに来たから一緒にランチしようって」
彼の質問に少し考えて答えた。
「だったら、どうして何回も会社にかけてくる?」
彼がまるで刑事のように矢継ぎ早に質問してきて狼狽える。
「う、うちの母って心配性だから、会社に電話して私の様子を探りたかったんじゃないかな。渡辺君にも迷惑かけてごめん」
「ふーん、過保護な親を持つと大変だな。お前、飲みが足りない。それ、飲み干すまでは帰さないからな。すみませ~ん、生もうひとつ」
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