切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
彼女も大人だ。
【わかった。楽しんでおいで】
素早く文を打って、スマホをポケットにしまう。
「玲司さん、スマホ見てたけど、美月ちゃんからだった?」
接客をしていた晴人がカウンターに戻って来て、ズボンのポケットに手を突っ込んで車のキーを出す。
彼は今日は実家に用があると言っていたが、いつも通り店を手伝いに来た。
「同期の子と食べに行くらしい。今日の迎えは俺が行くから、お前はいい」
俺の話を聞いて、晴人は車の鍵をポケットにしまう。
「なんか難しい顔してると思ったら、美月ちゃんが真っ直ぐ帰らないからか。社会人だから付き合いもあるだろ?」
「わかってる。でも、ちょっと気になってな」
壁にもたれ掛かり腕を組んだ。
酒を飲まされて、男にホテルにでも連れ込まれたら……と思うと、気が気じゃない。
ゴールデンウィークに温泉旅館で彼女に食前酒を飲ませた時のことが思い出される。

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