切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
その後も手が空くたびにスマホを見ていたら、晴人が気づいてニヤニヤ顔で俺を見た。
「もう八時半過ぎたし、迎えに行ったら? 店は俺が締めるし、そのまま帰っていいよ」
「悪い。そうさせてもらう」
ポンと晴人の肩を叩くと、ロングエプロンを外して店を出て、タクシーを拾った。
美月にどこの店にいるのかラインで聞くが既読がつかない。
店の名前も聞いておけばよかったな。
同僚と話が盛り上がっているか、それとも酔い潰れているか。
後者だとしたら、早く見つけないと。
車に乗り込むと、スマホをポケットから取り出して真田物産周辺の居酒屋を探す。
三軒あって、駅に近い店から探すことにした。
駅の近くでタクシーを降りて、赤い看板の店に入る。
美月の姿を探すが見当たらない。
「いないな」
すぐに二軒目の店に行くも、ここにも彼女の姿はなかった。
決めた。美月にGPSをつけよう。
今後も必要になるかもしれない。
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