切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「美月の保護者兼恋人ってところかな。彼女はお酒が飲めない。もう飲ませないでほしい」
紳士的に言ったが、俺なりの警告。
彼女が自分から進んでお酒を飲むとは思えない。
しかも、美月は酒臭くて、結構な量のアルコールを飲んだようだ。
こいつが飲ませたのかと思うと、怒りを覚えた。
「保護者……?恋人……?」
俺の発言に男性は驚いた顔をする。
「君は美月とはどういう関係かな?」
じっと彼を見据えれば、こいつは俺の視線を受け止めてはっきりとした声で名乗った。
「俺は渡辺樹。彼女と同じ総務部の同期です」
人事の人間なら面接で採用しそうな好青年タイプ。
だが、俺にとっては美月の近くにいるというだけで目障りな男にしか見えない。
「そう。覚えておくよ。彼女は俺が連れて帰るから心配しなくていい」
冷ややかに言って、通りでタクシーを拾おうとしたら、弟の斗真が歩いてこちらにやって来て……。

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