切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
彼の目を見て頷いて、母の愛人に襲われそうになったことを話した。
すると、彼は『もう大丈夫だよ。怖かったね』と言って私の頭を優しく撫でてくれて、それで気が緩んだのか子供のように声をあげて泣いた。
結局その夜はそのまま泣き疲れて寝てしまい、気づいたら知らないベッドの上。
カーテンの隙間から日の光が差し込んでいる。
『もう朝?』
慌ててベッドから上体を起こして腕時計に目をやれば、七時半を過ぎていた。
マズイ。学校、遅刻しちゃう!
玲司さんの姿を探して部屋を出ると、リビングらしき広い部屋に彼と三十くらいのスーツを着た知らない男性がいてなにか話しているのがガラスのドア越しに見えた。
躊躇いがちにノックすれば、玲司さんが笑顔でドアを開ける。
『おはよう。眠れた?』
『はい。あの……邪魔しちゃってすみません。ここはどこですか?』
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