切愛願望～極上御曹司の庇護欲からは逃げられない～

「吐きそうなのか？」
そう問いかければ、彼女は小さく頷く。
ズボンのポケットからハンカチを取り出して美月に渡し、エレベーターに乗る。
「あともうちょっとだから」
そう彼女に声をかけ、鍵を開けて部屋に入ると、彼女をトイレに連れていった。
身を屈めて嘔吐する美月の背中を優しくさする。
「大丈夫か？　吐いたら楽になるから」
しばらくすると、吐き気が収まったのか、彼女は壁に寄りかかった。
塗れタオルを用意して、彼女の口元を拭う。
「服がちょっと汚れたし、シャワー浴びよう」
俺の言葉を聞いて、美月はトイレを出るが、その顔は青白く、辛そうだった。
バスルームまで彼女について行き、「何か着替え取ってくる」と声をかけ寝室へ。
とりあえず俺の部屋着を手に取りバスルームに戻るが、美月は脱衣場に座り込み、下着姿で「うー」と唸っていた。