切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「美月? まだ辛い?」
屈んで彼女の顔を覗き込もうとするが、俯いていてよく見えない。
シャワー浴びるのは無理か。
タオルを濡らして軽く彼女の身体を拭く。
「タオル、熱くないか?」
「……うん」
子供のように頷く美月に、「あとこれ着たら、ベッドで寝れるよ」と俺の部屋着を着させる。
「お酒、どれくらい飲んだ?」
俺の問いに蚊の鳴くような声で呟く彼女。
「……ジョッキ……一杯くらい……。飲むまで……帰れないって……渡辺君が……」
その言葉を聞いて、思わず毒づいた。
「あの男……」
ジョッキ一杯も飲ませたのか?
状況はよくわからないが、飲むまで帰れない……と美月が言うってことは、強引に飲まされたのだろう。
学生の気分が抜けてないんだな。
初めて会った男に殺意を覚えた。
そんな俺の怒りが伝わったのか、美月がいじらしい態度で謝る。
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