切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
すぐにおいとましようとしたのだが、彼は私の手を掴んでリビングに招き入れた。
『僕のマンションだよ』
玲司さんのマンション?
いろいろ迷惑をかけて申し訳ないことをしちゃったな。
よくよく考えると、なにも考えずに彼のところに逃げてしまった。
『あの……私……帰ります』
そう口にするが、急に彼は真剣な眼差しを私に向けた。
『靴もないのに?』
『それは……そのまま家に帰って……学校に行きま!?』
玲司さんがいつになく厳しい顔で私の言葉を遮る。
『ダメだ。また、同じことが起きるよ。僕に任せてくれないかな? 悪いようにはしない』
玲司さんは私をじっと見つめ、訴えるように言うと、中にいる男性を紹介してくれた。
その男性は水嶋さんといって、なんでも親に虐待された子供を支援している非営利団体の職員らしい。
彼と玲司さんとあと玲司さんの従姉だという女性の弁護士さんが母と話をしてくれて、私は母から離れ、高校、大学はその団体の支援を受けて全寮制の寮に入った。
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