切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「一時間半くらいかな。倒れてすぐに救急車を呼んだから、処置も早くて助かったんだと思う。午後には麻酔が切れて話せるって先生が言ってた」
ちらりと腕時計に目をやれば、午前十一時。
それほど悪い状態でないのなら、帰ろうと思った。
「親父が起きたら、タバコ控えるように言っておいてくれ」
席を立とうとする俺を斗真が引き止める。
「待って。親父は兄さんと話したがってた」
信じられなかった。
いつだって俺は厄介者扱いされていたのに。
「親父が? いつ?」
冷ややかに聞けば、斗真は優しい目で告げる。
「実は救急車に乗った時に意識がちょっと戻って、『玲司を呼べって』言ったんだ。多分、自分の命が危ないって思ったんじゃないかな」
それから親父の麻酔が切れるのを待って、集中治療室にいる親父に会いに行く。
義母は斗真が「お昼を食べよう」と言って連れ出した。
晴人と水嶋を連れて病室に入り、ベッドで寝ている親父に声をかける。
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