切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「あんなに激しく愛し合ったのに忘れたの?」
耳元で囁かれたその説明に思考が停止する。
ん?
今、玲司さん、なんて言った?
確か……。
「愛し合った?ほ、本当に?」
玲司さんの目を見て確認すれば、彼はセクシーに微笑む。
その微笑は肯定ってこと?
「嘘〜!」
信じられなかった。
驚きで頭の痛みも忘れ、しばし呆然としてしまう。
昨夜の記憶を辿ろうとするも、頭が麻痺しているのか何も浮かばない。
そんな私を見て玲司さんは少し傷ついた表情になる。
「覚えてないんだ?」
私……なんで思い出せないんだろう。
玲司さんに抱かれたことも忘れるなんて、なんて薄情な女なんだろう。
やっぱり、昨日はどんなに渡辺君に強く言われてもビールを断るべきだった。
「……ごめんなさい。次はちゃんと覚えておきますから」
しゅんとなって謝れば、なぜか彼は肩を震わせククッと笑った。
「玲司さん?」
< 216 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop