切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
弁護士さんと職員さんの指示で母との連絡は一切断った。
また母の愛人に狙われる可能性があると強く言われたから。
母のことは気になったけど、自分がちゃんとひとり立ちするまでは我慢しようと思った。
そして、無事に大学も卒業し、就職も大企業の真田物産を受けたら見事に採用された。
元々商社に興味があって単に玲司さんと名前が一緒というだけで第一志望にしたけど、経営はうまくいっているし、福利厚生もしっかりしていて新卒には人気の会社だ。
物思いに耽っていると、クスッと玲司さんの笑い声がして……。
「何ボーッとしてんの? 慣れない仕事で疲れた?」
慌ててスマホのアプリを閉じてテーブルの上に置く。
恋愛小説を読もうとしていたから彼に突っ込まれたくない。
「そ、それもあるけど、パンプス履き慣れていなくて足の感覚が麻痺してます」
苦笑しながら答えれば、彼は甘く微笑んだ。
「じゃあ、これ飲んでゆっくり休んで」
コトンと彼がテーブルの上にカプチーノを置く。
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