切愛願望～極上御曹司の庇護欲からは逃げられない～

渡辺君、いい人だな。
玲司さんは、男はみんなオオカミって言ったけど、渡辺君は信頼出来ると思う。
それに、私を襲うほど女に不自由していない。
だって、同期の女の子の間では彼は一番人気だし、実際に何人かに告られているようだ。
お茶を飲みながらメールを見ていたら、佐藤先輩がやって来た。
「松本さん、おはよう。今日は会社の防災マニュアルとヘルメットが届くから、各部署に届けにいくわよ」
「おはようございます。了解です」
元気よく返事をすると、佐藤先輩が自分の席に座る。
また、パソコン画面に目を戻してメール処理していたら、彼女の視線を強く感じた。
「ねえ、手首の痣どうしたの？」
手首の痣？
キョトンとしながらも、自分の両腕を見たら、右手首に紫色の痣がついていた。
「あれ？　いつの間に？」
どこかにぶつけたかな？
そう思ったのだが、佐藤先輩が私に顔を近づけ声を潜めた。