切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「どうぞごゆっくり」
ニヤニヤ顔の晴人さんに困惑しながら言う。
「あの……私頼んでないですよ」
「いいから、いいから。玲司さんの休憩に付き合ってあげて」
パチッと私にウィンクすると、晴人さんは他の客に呼ばれて行ってしまった。
「店のおごりだから気にせず食べて。そういえばさ、この時期新人歓迎会とかないの?」
玲司さんの言葉にギクッとする。
「……そ、それはですね。えーとー……あの……」
ゴニョゴニョ口ごもる私を「これからなの?」とニコニコ笑顔で追及する彼。
なんだか誤魔化せない雰囲気。
観念して「実は……今日です」と言えば、彼は悪戯っぽく笑った。
「サボッてうちに来たんだ。悪い子だな」
玲司さんって結構意地悪かも。
そんな感じで彼に弄られてるうちに閉店時間になって、少し残念に思いながらも会計をし、「ご馳走さまでした」と笑顔で言って店を出た。
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