切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
それならちょっと身に覚えはあるけど、わざわざ個人的に注意するだろうか?
ハラハラしながら理由を考えていたら、常務が口を開いた。
「兄と別れて欲しい」
「は?」
思わず素っ頓狂な声が出る。
「君が兄と付き合ってることは知っている」
「ま、待って下さい。私は常務のお兄さんと付き合ってなんか……」
「なにを訳のわからないことを言っている?真田玲司と付き合っているだろう?」
……なんで玲司さんの名前を知っているの?
でも……そう言えば常務も真田。
え? ええ!?
でも、玲司さんはカフェのオーナーで……。
頭の中はぐちゃぐちゃ。
「玲司さんと一緒にいますが、でも……玲司さんが常務のお兄さんだと言うんですか?」
「ああ。付け加えるなら、兄はうちの会社の専務だ」
うちの会社の専務……。
ショックで言葉が出ない。
でも、前にうちの会社で玲司さんに似た人を見たと思った。
あれはやっぱり玲司さんだったんだ。
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