切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「そのNPO法人、本当にあるか調べたことある?実際には存在しない。兄のポケットマネーで君は大学まで行ったんだ」
常務の言うことが信じられなかった。
「う……そ。NPOの職員の人から名刺だって見せてもらって……」
昔の記憶を思い出しながら呟く。
「名刺なんていくらでも作れる。君はずっと兄の援助で生きてきたんだ。もう兄に寄生するのは止めてくれ」
そう言って常務は封筒を私に握らせようとするが、私は彼の手を振り払った。
「いりません!」
封筒が落ちて、札束が床に広がる。
お金が散らばるのを見て、気分が悪くなった。
「私はお金が欲しくて玲司さんと一緒にいるんじゃない!」
キッと常務を睨みつけて言い放つと、ミーティングルームを出て近くのトイレに駆け込んだ。
激しい頭痛がする。
常務が言ったすべてのことを受け入れられなかった。
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