切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
仕事が終わるとみんなに挨拶をしてオフィスを出る。
玲司さんや晴人さんに"仕事が終わった"といつものように連絡を入れなかった。
常務の言うように、玲司さんと離れた方がいいと思ったのだ。
真田物産の専務……いや、社長と同居なんて他の社員が知ったら、玲司さんの信用に関わる。
それに、やっぱり私が玲司さんと付き合うって無理があったんだ。
真田物産の社長になる人と恋人って分不相応もいいところ。
今日母にお金を渡したら、荷物をまとめて玲司さんのマンションを出て行こう。
近くのコンビニでお金を下ろして、母と待ち合わせしているカフェに向かうと、バッグの中のスマホがブルブルと震えた。
立ち止まってバッグから取り出して見れば、玲司さんからの着信。
今は頭が混乱していて彼と話したくなかった。
電話には出ず、またバッグに戻す。
チクンと胸が傷んだが、どうしようもない。
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