切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
悪趣味で、見るだけで気分が悪くなる。
「……ここは?」
「俺の店だ」
矢島は私の目を見据え自慢げに言う。
きっと風俗系のいかがわしい店に違いない。
"早く、逃げろ"と頭の中で警鐘が鳴る。
起き上がろうとしたが、なぜか身体に力が入らなかった。
どうして?
焦らずにはいられない。
このままでは矢島にまた襲われる。
なのにどうして身体が動かないの!
ひょっとして気を失っている間になにか薬でも打たれたのだろうか?
「……私になにをしたの?」
喉の奥から声を絞り出せば、彼はうっすらと口角を上げた。
「今度こそ逃げられないように麻酔を打ってもらった。首から下が動かせないだろ?」
……麻酔?
薬を使う彼がより怖くなった。
矢島はどんな手を使ってでも私を逃さない気だ。
もう一度身体を動かそうとするが、やはり力が入らない。
「母親の借金をこの店で働いて返してもらうぞ。まずは研修だ」
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